2011年10月20日

「あるミニ・コンサート」

軽井沢は、いたるところに美術館がある、時間が余った時など、古いパジェロ・ミニを転がして、今日はこちら、明日はあちらと軽い気持ちで出かける。美術館大好き人間にとって、たまらなく嬉しいのは、そのときの展示物だけではなく、建物や手入れの行き届いた庭園などのアート的空間にあることは、誰もが同意するだろう。

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セカンド・ハウスから最も近いのが、文化服装学院ゆかりのミュゼ・ド・ル・バンだ。車で五分。それも、原宿なみに込み合う時季も、渋滞にはまることなく、あっというまに辿り着くことができるので、展示物目当てというよりも、空間利用者として常連になっている。テラスには愛犬もオーケーで、季節の花々を眺めながら食するキャッシュなどが安くて格別においしい。

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過日、ル・バン主催のギター・コンサートに出向いた大賀ホールと違って、お値段もお手頃価格だけに、当たり外れは当たり前のことかもしれない。夏の暑い盛りに出向いた「サバトス」というふたり組のテナー・サックスは、大当たりで、いまだにCDをかけては、別の感覚を味わっているほどだ。が、今回は、失礼を承知して明記するが、はずれに該当してしまった。

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海外の大学と大学院でギターを学び、音楽芸術博士号とやらを習得しているという立派な経歴らしいが、その日は、指先を痛めたとかで、詫びのひとこともなく、曲目は勝手に変更された。さすがに、映画音楽の「禁じられた遊び」や「ひまわり」などは哀愁や溜めがほどよくなされていて、曲の中を彷徨い歩けたが、他の曲はかなり耳障りなものもあった。指の故障さえなければ、かなり実力のある方なのかもしれない。ならば、CDを買ってもいいと思い、売店で迷っていると、本人がそばで曲目の説明をしてた。

「やはり、左指の故障で、かなり、きつかったですか?」と言ってみたら、「やっぱり、わかりましたかねえ・・・・・」と私の顔をのぞきこむように聞き返してきたので、「はい。アルハンブラの思い出などに透明感がなかったので・・・・」と素直に答えると、その方は、とたんに態度をひるがえして「まあ、生演奏ですからね! その時、その時で違うんですよ!」と居丈高に答えてきた。やはり、日本人的に「いえいえ、素晴しい演奏でしたよ」とおせいじを言わない私のほうが、人間的におかしいのだろうか。

なんだか、こちらも、ムカッときて、そそくさと会場を出て、「大体学校で教えたりしている芸術家なんて、ろくな奴はいないわね。先生、先生なんて呼ばれているから、プライドだけは高くなっちゃって・・・・」などと夜空に向かって、ひとり、毒づいていた。

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もしも、あの時、素人の生意気な放言に「それは、失礼しました。日頃のケアが足りなくて。次回は、もっと素晴しい演奏を。お聴かせしますよ」とでも答えてくれたら、CDを何枚?も買ったし、大ファンになったのに。

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日を追って、よくよく自分を眺めてみれば、私自身もその方とよく似ているところがあるのかもしれない。なぜなら、「あの人の、あの部分って、どうしても許せない!」などと毛嫌いしていると、そのほとんどが、自分も、まったく同じ部分を持ち合わせていることに、これまで何度も気づいてきたのだから。

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posted by アンジェリカ at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 立木アンジェリからのお便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする