2015年03月06日

ひとりで自分を楽します方

オペラシティーから歩いて五分の場所に住んで十年になるが、オペラやコンサートに出向いたことがない。日本では恐ろしく値段が高い上に、若い頃の神経症が残っているのか、長時間、ああした席に黙って座っているのが苦手だからだ。
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昨年の秋より、「ひとりで楽しめるささやかな場所」を求めて、小さな冒険をすることにしている。とりあえず、暮れの<第九>のチケットを買ってみた。二階席の舞台すべてが見えない一番安い料金の席だ。けれども、曲のうねりの凄さに圧倒されて途中退場することもなく楽しめた。これからも手軽な料金で楽しめるのかも、と浮き浮き気分で、ヨーロッパの若手演奏家のショパンのチケットを張り切って買う。当日まで、なんども手にするほど期待感にあふれていたのに、極度の静寂ピリピリ感の耐えきれなく、途中退場してしまった。
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数日後、はた、と気づいたことがある。ひょっとしたら自分は神経症というより、クラシックそのものの愛好家ではないのかもしれない、と。なぜなら、どこのホールでも気軽な演目ならば楽しめるし、渡辺貞夫氏のジャズなど、追っかけをしたいぐらいだ。なのに、「クラシックが楽しめない私など絶対に認めぬぞ」と決めていたのかもしれない。くだらぬ見栄など取り払ってしまいなよ、と声をかけ、中嶋みゆきさんなどのチケットを買おうかと迷っているのだが、いまだに買っていない。きっと高いだろうなあ。
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けれども、初挑戦のおかげで、映画館で神と王の3D映像は見れたし、今年になって、二回、上野の森へでかけている。もちろん、動物園のパンダも東照宮の冬ボタンも最高だが、美術館以外で、新しいお気に入りの場所を見つけたのだ。それは、国立科学博物館・地球館のゼロ戦闘機であり、はやぶさが持ち帰った宇宙の石であり、なによりも、たったひとりで、お金もかけず、落ち着いて座っていられる場所。そこは、何百体もある大地を駆け抜ける生命体の標本達の沈黙のフロアで、その子達の中に、自分の来るのを待っていてくれたと思えてしまう一匹の愛らしい瞳をした熊さんがいたことに気づいたのだ。名称未設定 4.jpg
posted by アンジェリカ at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 立木アンジェリからのお便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする