
そこで登場したのが、今、流行りの「一日一食」。例え、パーフェクトにはできずとも、私雄に「なんちゃって一日一食風」を試してみることにした。
これの怖さは、果たして、「その空腹感に耐えられるか」ということと「気力も体力もなくなり、倒れてしまうのではないか」という心配だった。けれども私の場合は杞憂に終わった。体重はようやく二キロ痩せて、身体はすこぶる快調だ。

空腹感については、家にいて、冷蔵庫が自由に開けられる状態にいる時は、確かに辛い。
だが、外出している時は、ほとんど忘れている。食物をいれないことによって、胃や腸が「ラクチーン」と呟いているのが聞こえてくるような・・・。嘘ではない。腹辺りに感覚を集中させて、耳を澄ませてみたり、下腹部に手をあてて、「ごめんね。これまで酷使してきたよね。ちょっとは休ませてあげるね」などと話かけると、それに答えるかのようにジーンと暖まってくるような気がするのだ。

気力のほうはどうかというと、これまでは、何かをやろうとした時、面倒くさいなあ、という気持ちが少しでもあると、「ああ、食していないから体力がないんだね」ということと結びついていた。そのめんどくささをエイッと投げ捨てて身体を動かしてみると、不思議なことに、身体がヒョイヒョイと軽く動くので驚いてしまう。その時、初めて実感した。「きっと、これまでは自重で、身体が重たくなっていたのだなあ」と。

代わりに夕食は、今のところ、めいっぱい好きな物を食している。これまで口にすることができなかった春巻きやテンプラも。もう、一か月続けてみようと思っている。あと、二キロ痩せてみたくなった。時間があれば、ウォーキングをしているが、それが苦痛でなくなった。夜はぐっすり寝れるし、家にいて、だらだら食をしないように我慢しているほうが、よっぽどキツイ。

いずれにしても人間の歴史は、常に飢餓との戦いだった。飽食の時代が到来して、まだ、五十年そこら。故に、細胞を修復してくれる生命力遺伝子が活躍できるのは空腹の時のみということらしい。