ハワイのマウイ島の天体望遠鏡で土星のクッキリした輪を眺めた時は感激した。本にある写真とは違い、いっきに幻想的イメージが舞いおりる。

過日、軽井沢にいく新幹線のJR紙に「国立野辺山宇宙観測所」という記事が小さくのっていた。地元の若い友人、栗原静香さんに興奮して話すと「行こう! 行こう! 」となり、さっそく愛犬もも太郎と三人で出発した。

その日は快晴。
なぜ野辺山が適しているかというと、@に標高。Aに乾燥した空気。Bに山に囲まれた平地で人工の電波がほとんどない、ということらしい。
ずらりと並ぶパラボラアンテナを前にして、ふたりが歓声をあげる。もも太郎まで嬉しそう。直径45メートルある電波望遠鏡はなんと世界一大きく、なんでも天の川のブラックホールを2個も発見したというのだ。こんな近くに世界を圧巻する観測所があったとは!


訪れる人はほとんどいない。観光地化されていないからだろう。
夜更けになり、静まりかえった漆黒の闇の中も宇宙に向かって無言に語り続ける白いアンテナ。
それを見おろす天上の秋の星座達。
想像しただけで、その厳粛さに胸が一杯になった。
