2019年02月08日

消えたルゴール

 風邪ばやりの一月。ドラックストアで、ルゴールを買おうとすると、「おいてありません」とあっさりと言われた。風邪関係の薬がほとんどレジーの背後においてあるので 「ほら、そこに似たものがあるでしょう。陰にあるかもしれないからもっと、よく、見てくださいよ」と指差して頼むと、嫌な顔をされた。
 別のドラックストアに立ち寄ると「置いていませんが、お取り寄せ可能です」と気持ちよく言ってくれたので、ふた瓶ほど頼むことにした。価格が余りに安いので、ひと瓶では気が引けて、もっと多くしなくては、、、と迷ったくらいである。
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 子供の頃から 、ルゴールのお世話になってきた。 姉、兄、私と三人とも 扁桃腺が腫れやすく、40度近い高熱がでるので、順番に扁桃腺を除去する手術を受けていた。私は3歳の時だった。父がやはりその年齢にアメリカで除去の手術をしていたらしい。今から百年以上前のことである。
 それでも風邪を引くと真っ先に喉が痛くなり、どんな風邪薬を飲むよりも、割り箸に少量の綿を丸く巻きつけて、喉の両横、上、両下をゲロっとなるまで自分で塗りまくる。ま、いいか、と塗らないでいると翌朝から咳がでてきて 7度台ではあるが熱もでてしまう。
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左様に、私にとってはなくてはならない常備薬である。海外に出かけている最中、なんど、この「グルグル塗りゲロツ」に 窮地を救われたことか。それが今市場から消えつつある。
若い人たちは多分に、この殺菌ための口腔咽喉塗布剤の効能を知るより前に、吐き気を模様してしまい、その野蛮さにそっぽを向くだろう、と容易に想像できる。ずっと前に、知り合いの女性に良かれと思って勧めたら、拷問のようだと言われて、びっくりした。
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 しかし、昔ながらの薬は、いささか乱暴であっても、安価で極めて優秀。
例 えば便秘薬のせんな。父は、母に、毎晩、長い時間をかけて煎じ薬を作ってもらっていた。だからキッチンからリビングまで、逃げ出したくなるような強烈なにおいが充満していた。
 現在、私が 強度の便秘から解放されたのも、せんなという怪獣に慣れ親しんだからである。10年前、薬局でそれら見つけた時の、あのほっとした感覚。
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 子供の頃は、錠剤などなく、オブラートという薄い膜で包み込んで、一気に飲み込んだものだ。粉の方は、今もあるので、さっそく手にしてみた。なんとなく錠剤より粉の方が、効き目が早いと思えるのはえこひいきか。そのオブラートも今は見ない。
いいものは必ず残る、なんていうのは幻想ですかね。

posted by アンジェリカ at 15:58| Comment(0) | 立木アンジェリからのお便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする