
かくいう私も若い頃は、世間一般常識に洗脳されていて「フェニミズムと言うけれど、どうして男と女が対等でなくてはならないのか。初めから創りが違うのだから得意分野で行けばいいでしょう」など良き妻でいることの心地よさを味わっていた。それでいて「どうして女は縁の下の力持ちか汚い仕事しか受けもてないのか」とかすかに鳴くコオロギの声を聴いていた。

それが体内に蓄積したのか、数年前にNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」に所属した。所属はしたが、集会には一度もでれず、コロナによるキャンセルもあり、この度、ようやく初めて東京大会シンポジウムに出席することができた。場所は 日比谷図書文化館地下 ホール。百名限定。

その日のパネリストは介護保険創設に関わったメンバー。
そのメンバーのひとりであり、この会の理事長でもある樋口恵子氏は圧巻だった。正直に記すと、ご自分でも言っておられるように、「ヨタヘロ」足元もおぼつかなかったが、話し出したら、御年88凛として決然。そこにユーモアが混じり、おとぼけまで入る。会場の空気を一気に掴んでしまった。

私が二十年ほど理事をさせてもらった「学校をつくる会」の代表、脚本家小山内美江子氏とかなり共通項があり、トップに立つ女子の凄みのようなものを改めて認識させられた。なんでも介護保険創設時には、右翼系の方々から「 介護をするのは女の仕事。しなくなったら日本は亡びる」と責められたらしい。

余談だが、こんな話も。あの例の森さん騒動の時、インタビューアーが「樋口さん。あなたほどわきまえないで、勝手に言いたい放題した方もいませんよね」と言うので、「いいえ。ワタクシほどわきまえた女はおりません。あっちを立て、こっちを立て、、、さもなくば、私など一瞬にして蹴散らかされてしまいました」
前列の端に座っていた私は、思わず拍手喝采。「す、素晴らしいでーす」と大声で。あとで自分でビックリしてしまった。