2023年06月05日

期限切れワクチン注射

 五月の二十日過ぎ、軽井沢は新緑の季節。地上からは匂い立つような香りが漂う。一年で一番素晴らしい季節。にわかに活気づいたレストランや洒落たカフェ。けれども、私が毎日、口にするのはお粥とうどんのみ。
image3.jpeg
 それというのも四月半ば、オミクロン注射を東京の病院で受けた。これまで接種後、腕が痛くなっただけだったのに、今回に限って、夕方から立っているのも辛く、床に崩れ落ちた。持病である腰の骨もひどく軋む。まるでコロナ感染時と同じ状況であった。無理もない。ワクチンは同種の菌をさらに身体にいれるのだから、と複雑な心境だった。
image4.jpeg
 すると、夜中に固定電話がけたたましく鳴った。なんと、病院の事務方からの電話で、本日、打ったワクチンは期限切れだという。緊急時なので、今から医者と一緒にお宅に行きたい、と言う。ぐっすり寝込んでいた私は、「 一体、今、何時だと思っているんですか」と怒鳴りつけたが、時計をみれば、八時半頃だった。それほど爆睡していたのだ。
image2.jpeg
 数日後、彼らは、手土産を持って詫びに来た。八日間、期限切れに気がつかず、看護師にワクチンを渡した薬剤師をともなって。目には涙を溜めている。
 そこで私は言った。 「 まあ、、、間違いは誰にもあることですから、、、仕方ないですよね。もう、してしまったのだから、、、」それは本心でもあった。「 それでは五月に、こちらにいらして血液をとり、抗体検査をしますので、その時はよろしく」と低姿勢で言葉を残して彼らは帰って行った。
image0.jpeg
image1.jpeg 
 ところが、日がたつにつれて、同じ病院に行き、検査をすることを想像するだけで、腹が煮えくりかえった。冗談じゃない。あいつらに痛い思いまでして、この赤い血液を一滴でも渡すものか。つまり、私は、そのミスをヤラカシタ薬剤師を、頭では許していても、心や身体が怒り狂っていたのである。その頃からだった。胃痛が始まったのは、、、。
 再検査は、丁寧にお断りした。彼らは、正直者だから、事実を患者に伝えたという見解と、許してなるものか、踏み付けてやりたい、という想いが、今もぶつかりあっている。
image5.jpeg
posted by アンジェリカ at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 立木アンジェリからのお便り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする