腰椎すべり症であると診断されたのは昨年の三月。コロナですっかりおかしくなってしまった腰を、幼馴染みの男性から、いわゆる「名医」とされている先生を紹介してもらい、遠方まで出向いた。その時、狭窄症は手術で治るが、すべり症は、器具で固定しなければならないから厄介。どうにもならなくなったら手術しましょう、と言われた。

それ以来、腹圧を作るため。反り腰を治すため。腰の筋肉強化のため。早朝、一時間、工夫しながらリハビリを続けてきた。
新年を迎え、リハビリの効果がかなりでてきたと身体が教えてくれるようになったので、気軽にかかりつけ医にレントゲンを撮ってもらった。ところが持病だけでなく骨粗鬆症に加え腰椎の一番下が潰れているという。その時は、びっくりして目を丸くした。自分では、コロナにかかる前の体に半分くらい戻った感触を得ていたので。

そして、今回。今回は紹介者なしで近所の脊椎専門の外科病院。まずは、自分の骨密度がどのくらいあるか知ることにしたのだ。現状を把握していなければ、何も対処できないのだから。とは言っても、予約をするまでは、かなりの勇気を必要とした。

MRIに入っている間も、自分に言いきかせていた。「たとえ、最悪な結果が出たとしても、それをしっかり受け止めよう。そして、それに沿った生活を始めよう」と。その間、一人娘のことを、まるでお守りのように考えていた。あの時やこの時、あの子はさぞや辛い思いをしただろうなぁ、などど回想していた。結果は、再び、目を丸くした。
大腿骨の骨密度は若年成人の82パーセントであるが、腰椎の骨密度は若い人と同じくらいあるという。すべり症も、まだ、改善の余地があるという。

何よりも感慨深かったのは、これまでの自分の発案したリハビリが間違っていなかったということ。そして、それ以来、怖がらずにリハビリを続けられるようになったこと。
これには超おまけがつく。
先日、娘一家と久々の会食をした。その時、娘がMRIを受けた時の話を聞きたがったので、勢いに任せて「今は私のこと放っておいてもいいけれど、本当に弱くなった時はお願いね」と言うと、やにわに娘は、私の手を握りしめて「そう言ってくれて、ありがとう」と答えてくれたのだ。生きていて良かった、と思えた瞬間である。
