体操の橋本大輝氏の意味深い涙に感動して、原慎之助氏の柱時計の針が12時を打つような完璧な美に息を飲む。柔道の詩ちゃんに対しての批判の声を知り、「どうして日本人は、こうして感情を剥き出す人に対して寛容になれないのだろう。きっと、自分も社会の中で我慢させられているからだろうな」と。
オリンピック観戦の楽しみは、もちろん競技そのものにあるが、極限まで登り詰めている人たちの感情のトロを一緒に味わうという体験も、おなじくらいドラマチックな高揚感を与えてくれるはずだ。私は、詩ちゃんのあの我を捨て去った慟哭に深く胸打たれた一人である。いまだに あの姿勢、あの声は忘れられない。
また、イランとイスラエルの切迫した状況も他人事ではないし、アメリカ大統領選カマラ ハリス登場には拍手喝采をした。初演説を聴き、「これは イケる!」と大フアンにもなった。ぜひとも、小さなウエーブでも起きて オバマちゃんの再来になってくれたらと希望を抱く。
私は忘れない。バラク オバマ が、南アのネルソン マンデラを「歴史の巨人」と呼び、追悼式で述べた演説。「 彼を眺めていると、自分の中の良き部分を、もっともっと成長させようという気持ちにさせてくれる」と。なんという真摯な言葉だろう。これこそが、人間の人間たる尊厳の証であると確信している。
ちなみに私は 本屋の階段を踏み外し、足の甲が剥離骨折。緑の中で一カ月、外出禁止。生まれて初めてリモート会議を体験しようとしている。